• 公人の会 声明 あらゆる公職から森喜朗氏の辞任を求めます

    投稿 2月 6th, 2021

    森喜朗 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の
    「女性差別 」発言に関する声明

    - あらゆる公職から森喜朗氏の辞任を求めます -

    2021年2月5日
    公人による性差別をなくす会

    森喜朗会長のJOC評議委員会における「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」発言は、許容できない「女性差別」です。この発言が、団体におけるボードに女性が参加し発言することに関して行われたことに対し、謝罪だけでこれを済ませることは全く許容できません。
    それが「他人から聴いた」ことか「自身の認識」であるかを問わず、このような発言を公人が行い、これを口先だけの「謝罪」で終わらせることは、社会における差別を根絶するうえで有害です。直ちに森氏のあらゆる公職からの辞任を求めます。
    この発言が、女性の公的場面における発言に関して行われたことを、私たちはきわめて深刻であると受け止めています。なぜならこの発言は、日常の社会的相互関係のなかで、他者に横柄な態度をとり、無意識に差別的な言動を吐くマイクロアグレッションの根底にあるものの考え方に通底しており、たとえば、男女の力関係のなかで、「話の最中に口を挟む」「その人がいるのに存在を無視する」「本人の前でその人の代弁をする」「間違った名前で呼ぶ」などの行動を正当化し、女性の発言を封じて、結局のところ女性の存在意義を無化することにつながるからです。これは男女のあらゆる分野における尊厳を基礎とする平等に反するのみならず、民主主義の根本を侵すものです。そして、日本の経済と政治が男性によって支配されているという批判が国際的に向けられるなか、政府ならびにオリンピック・パラリンピック組織委員会が謝罪会見のみでこの発言を不問に付すことは決して許されません。
    男女平等と民主主義の基盤を損なう「無意識のバイアス」は、育つ環境や所属集団のなかで無意識のうちに脳に刻み込まれ既成概念・固定観念になっていくもので、人間の認識・記憶・判断・表現の過程で行われるショートカットに影響を与え、とくに昇任人事や女性の活動に大きな否定的影響を与えています。森氏の発言の根底には、こうした無意識のバイアスが働いています。
    このような行動を社会から根絶することが求められている時代であることを十分認識し、日本の未来のために、強く辞任を求めます。

  • 杉田水脈議員の「女性はいくらでもウソをつける」発言についての要請

    投稿 10月 22nd, 2020

    私たち「公人による性差別をなくす会」は、16日付で、政府、国会、各政党に、下記に速やかに応えていただくよう要請文を送付しました。

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  • 小池都知事と墨田区長に抗議と要請文を送付 関東大震災朝鮮人犠牲者へ追悼文取りやめの事態

    投稿 9月 1st, 2017

    本日(2017年9月1日)の市民団体主催による関東大震災朝鮮人犠者追悼式に、小池都知事は、都知事名で追悼文を送らないという決定を出しました。また、墨田区長は都知事に連動するかのように追悼文を見送りました。

    この事態に私たち「公人による性差別をなくす会」は都知事の歴史認識と都知事としての責任に重大な疑いを持たざるをえません。8月31日付で、小池都知事と墨田区長宛に、抗議・要請文を配達証明で送付しました。

    抗議と要請(都知事あて)完

    抗議と要請(墨田区長あて)完

     

     

  • 公人の差別発言リストに浦安市・松崎市長、桜田義孝元副文部科学相の発言を加えた

    投稿 1月 16th, 2016

    2016年1月14日 桜田義孝元副文部科学相は、自民党国際情報検討委員会などの合同会議で、慰安婦に関して「(1950年代に)売春防止法が施行されるまでは職業としての娼婦(しょうふ)だ。ビジネスだ。これを犠牲者のような宣伝工作に惑わされ過ぎている」と発言した。その後、発言を撤回した。

    2016年1月11日 千葉県浦安市・松崎秀樹市長「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ。人口減少のままで今の日本の社会、地域社会は成り立たない。若い皆さん方に大いに期待したい」と発言。

     

     

  • 6月22日 第4次男女共同参画基本計画への意見書を提出

    投稿 6月 28th, 2015

    第4次男女共同参画基本計画への意見書を、6月22日付で、「内閣府男女共同参画局 男女共同参画会議計画策定専門調査会」に持参しました。ご参照ください

    第4次男女共同参画基本計画への意見書(公人の会)

     

  • 性犯罪の罰則に関しての検討会に意見書を送付

    投稿 2月 25th, 2015

    現在、性犯罪の罰則に関しての検討会が法務省で開かれ、審議を行っています。
    公人による性差別をなくす会からも、検討会に対して以下の意見を送付しました。

    性犯罪の罰則に関する検討会様
                                    2015年2月12日
                             公人による性差別をなくす会

    ・性犯罪の法定刑の見直し(第1の1)
    強盗罪と同等かそれ以上に引き上げるべき。強姦により、被害者は、精神的症状やPTSDなどを発症するなど、長く後遺症に苦しめられる。また、これまでの生活の質が著しく低下し、就労にも困難をもたらす場合が少なくない。加害者が拘置されている期間は、ある程度安心して暮らすことができる。このように、強姦は、著しい人権侵害であることを勘案すれば、強盗罪と同程度かそれ以上に引き上げる必要がある。同時に、強姦は社会的に許されないことであることを示すことでもある。

    ・強姦罪の主体等の拡大(第1の2)
     行為者及び被害者のいずれについても性差のないものとする

    ・性交類似行為に関する構成要件の創設(第1の3)
     肛門性交、口淫等の性交類似行為については、強姦罪と同様の刑、あるいは強制わいせつ罪より重い刑で処罰すべき

    ・強姦罪等における暴行・脅迫要件の緩和(第1の4)
    現行法及び判例上、強姦罪等が成立するには、被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行又は脅迫を用いることが要件とされている。
    「いまから襲うぞ」と宣言する加害者はいないのであって、文字通り、被害は不意打ちのため、驚きと恐怖で身体は硬直し、凶器を隠し持っていないかと、そのことばかりがよぎり「殺されるかと思った」という被害者は多い。そのときの記憶を失っている人もいる。
    暴行・脅迫を要件とすることの緩和を求めるが、緩和した場合の要件の基準はあるのかないのか。要件はなくす方向で考えられないか。
    準強姦罪等の「抗拒不能に乗じて」という要件について、被害者が飲酒し、薬を混入され、「急に意識を失くした状態に乗じて」強姦された場合、被害者に記憶がなく、証明が困難である。被害者の意識と記憶は消えているが、薬の特性として、周囲からは意識がはっきりしているように見られることがある。「抗拒不能」をどのように証明すればよいのか。

    ・地位・関係性を利用した性的行為に関する規定の創設(第1の5)
     新設すること 

    ・いわゆる性交同意年齢の引上げ(第1の6)
     暴行・脅迫がなくても強姦罪等が成立する範囲の規定は「第1の4」とも関わるが、18歳までとする。高校卒業程度の年齢であれば、法的手段をとる場合、情報等も得ることができる。また、強姦は社会的に許されないということを示すことでもある。年少者への加害は、加重罰にする必要がある。
    ・配偶者間における強姦罪の成立について(第1の7)
     配偶者間でも強姦は成立することを明記する。DVの夫の場合、自身や家族に暴力が及ぶことの恐怖により、拒否できず、強姦され続けることがある。

    ・性犯罪を非親告罪とすることについて(第2)
    (準)強姦罪及び(準)強制わいせつ罪などすべての性犯罪は非親告罪とする。その場合、被害者の意思の尊重・プライバシーの保護などについては、別に規定する必要がある。
    近親姦の場合、保護者が告訴権者になるが、経済的理由や恥辱、世間体他の理由で告訴に至らない場合がある。また、被告側弁護士から告訴取り下げの脅しをかけられるなど(宮﨑地裁公判)、被害者へ、さらなる精神的苦痛を及ぼす働きかけなどが予想される。

    ・性犯罪に関する公訴時効の撤廃又は停止について(第3)
     特に年少者が被害者である性犯罪について、公訴時効を撤廃する。年少者が被害にあった場合、加害者への恐怖をはじめ、「だれにも言ってはいけない」と脅されることがあること、周囲に迷惑をかける他などの理由で、法的手段に行きつくまでに時間を要する。また精神的症状に悩まされる、人間関係に困難を抱える、自殺念慮、PTSDなどにより、法的手段に訴える気持ちは十分にあっても、実際に訴えるまでには多くの時間を要することがある。

    ・刑法における性犯罪に関する条文の位置について(第4)
     強姦罪の保護法益について個人的法益である性的自由と説明されているが、現行の条文の位置は社会的法益の位置にあり矛盾している。殺人の次に置くべき

  • なんと二審も無罪 鹿児島性暴力事件

    投稿 12月 23rd, 2014

     高校生だった女性は、ゴルフの師でもあった男性から強姦され、12月11日、この事件の判決が福岡高裁宮崎支部で言い渡された。二審も無罪。女子高校生は精神的に混乱し、抵抗できない状態だったと認定しているが、一方で、そうした状態を被告が認識していたとは言えないとした。抵抗できない状態であるにもかかわらず、男性がそのことに気づいていなかったから無罪という、あきれた判断だ。

     裁判官の勉強不足や性差別的観点による判決をなくしていくためにも、性犯罪、特に強姦罪の基本的な捉えかえし、罰則規定などの改正が早急に必要だ。
     法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」が10月にスタート。注目していきたい。→keiji12_00090.html
    上記、鹿児島性暴力事件については、SSHP全国ネットワークのHPを参照致しました。詳細はnposshp.jimdo.com

    〈経緯〉
     当時18歳で高校生だった女性は、プロゴルファーを目指してゴルフ教室に通っていた。2006年12月、師であるゴルフ場経営者の男性(61)から鹿児島市内のホテルに連れて行かれ強かん被害にあった。
    女性は4年後に、ゴルフもできなくなったと告訴したが、鹿児島地検は「嫌疑不十分」と不起訴。
    女性は2012年2月に検察審査会に申し立てを行い、同年5月、鹿児島検察審査会は「起訴相当」と議決した。議決書には「男性は、ゴルフ指導の名目でホテルに連れ込み、直前に30分間説教している」と指摘。「年齢や子弟関係から、女性は抵抗することが相当困難な状態になった」との判断により、地検は「議決を踏まえて再捜査する」としたが、8月、再び嫌疑不十分で不起訴処分となった。
    2012年10月、検察審査会は準強姦罪で「起訴すべき」と議決。男性は強制起訴されることが確定。検察審査会はさらに、「被害者の従順な性格を利用し、行為を受け入れざるを得ない状況に追い込んだ」と判断している。
    12月、鹿児島地裁から検察官役に指定された大脇通孝弁護士らによって、準強姦の罪で在宅起訴された。
    2014年3月、日本初の性犯罪で強制起訴された判決公判。鹿児島地裁は、無罪を言い渡した。

    一審の判決は、準強姦罪は「心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ」という規定があり、準強姦罪が成立するには「立場が下の相手の承諾を得ずに性交したというだけでは足りない。 相手が強い恐怖や衝撃で、抵抗や拒否の表明が不可能な精神状態だったことが必要」と規定。また、「信頼していた指導者に突然迫られ、精神的混乱に陥った」と認定しながら、「人間関係の悪化や後の不利益を気にしたとも女性は述べている」などとして、「主体的に抵抗しなかった可能性もある」と判断している。
    一審の証人尋問では、安永武央裁判長が女性の性体験に関わることを質問。すぐに指定弁護士が「本件とは関係ない」と異議を申し立てたところ、安永裁判長は「関係あると考えます」と主張。指定弁護士がアメリカやカナダでのレイプシールド法を説明したが、「アメリカやカナダは関係ない。ここは日本だ」と放言。次いで、「関係ないというのは言い過ぎかもしれませんが、判決に向けて被害者の”人なり”を知るために必要な情報である」というような発言をしている。

    この無罪判決に控訴要請が呼びかけられ、公人による性差別をなくす会も控訴を求める文書を送っている。

    ※準強姦罪
    暴行・脅迫によらない場合も、女性の心神喪失・抗拒不能に乗じ、又は女性を心神喪失・抗拒不能にさせて姦淫した場合は、準強姦罪が成立する(刑法178条2項)。
    ※レイプシールド法(強姦被害者保護法)
    アメリカ、カナダで性暴力の被害者が訴訟で不利益を受けることを防止する目的で制定されたもの。①被害者が当該性行為以外の性的行為に関わっていること ②被害者の過去の性的経験に関する事実についての証拠は例外を除いて排除される
    この法律が制定されるまで、性暴力事件において、被害者が加害者との性交に「同意」していた証拠として、被害者の過去の性経験が提出されるというケースがしばしば見られた。加害者のそうした戦術は、被害者に法廷で多大な屈辱を与え、また被害者が告訴することを妨げる原因ともなってきた。1288259834

    公人による性差別をなくす会の控訴要請文
    ゴルフの指導で、厳しい師弟関係にあることを背景に、63歳のゴルフ練習場経営者が、突然、18歳の女性に力によって性行為を強要したとき、女性が抵抗できない状態に置かれたと判断するのは当然のことです。警察庁が行ったアンケート調査でも、このような被害を受けたとき、殺されると思ったとその恐怖心を訴える女性が多いこともにも考慮されるべきです。祖父の年代にあたる男性から強いられて、 「性交を拒否することが著しく困難な精神状態に陥っていたと評価することはできない」という判断は、女性差別撤廃条約、国連女性差別撤廃委員会一般勧告第19号、2009年女子差別撤廃委員会第44回「日本に対する最終見解」にも反するものです。また、「女性が人間関係を壊さないため、主体的に抵抗しなかった可能性も排除で きない」という判断は、単なる推測により被告人を免責するもので証拠に基づく客観的な判断ともいえません。むしろ、指導者の指導を失えば、女性がプロゴルファーとしての道を絶たれてしまうという現実的かつ具体的な恐れを抱くのは当然のことで、このような司法判断は、偏見に基づく性差別という以外にないものです。
    プロゴルファーを目指して励んでいる女性を指導しているという立場を利用しての性暴力=「魂の殺人」と言われる強姦罪の免罪を容認することは、到底許されるべきではありません。
    私たちは、こうした判決は直ちに改められるべきだと考え、ここに控訴するよう強く要請する次第です。なお、このような要請は、国内のみならず、国際社会の強い要請であることについても付言します。

  • 2014.10.9 安倍内閣女性閣僚たち 男女不平等推進発言録

    投稿 10月 13th, 2014

    公人による性差別をなくす会は、「安倍内閣女性閣僚たち 男女不平等推進発言録」を
    作成しました。貼り付けと添付しました。ご覧ください。
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  • 2014.7.6 都議会差別ヤジに関する都議会議員アンケートの報告

    投稿 7月 10th, 2014

    皆さま

    短期間でしたので、回答率は予測したとおりですが、女性議員の回答率は52%でした。

    都議会議員アンケート報告(HP用)
    コピー都議会やじアンケート集計表

    また、7月7日には「都議会・性差別やじ問題の幕引きを許さない緊急集会」が開かれ、パネリストの一人として、公人による性差別をなくす会から中野麻美が発言。以下は、その発言要旨です。

    元石原都知事の女性や外国人、障がい者などに対する差別発言は氷山の一角で、都議会でも激しく乱暴な野次が「日常風景」だったようだ。今回の差別野次が取り上げられたことで、そうした都議会のあり方が問われることになった。
    自民の吉原修幹事長は会派内の調査をふまえたとして「他の野次を聞いた人はいなかった」と話していたとのことだが、それだけ野次が当たり前のように日常化していたということかもしれない。「問題視されるほどの発言なのか」とか、「言った本人の問題」、という考えも議員のなかにはあると報道されている。また下劣な野次をまともに取り上げる必要があるのかという考え方、表現の自由の観点からそれのみを問題にすることはできないといった考え方もあるかもしれない。しかし、この野次は公の場において公人によってなされた「発言」である以上、私たちは、自分たちの問題として真剣に取り組むべき課題だと考えた。

    そうしたこともあって、公人の会は都議会議員にアンケート調査を実施した。
    期間は6月24日から7月5日までとした。

    都議会における差別的野次に関するアンケート調査結果
    各会派等(平成26年6月23日現在)とアンケート回収状況

    会派(人数)               回答数
    東京都議会自由民主党 58(うち女性3)人        0
    都議会公明党 23(うち女性3)人              1
    日本共産党東京都議会議員団 17(うち女性11)人  14
    都議会民主党 15人                      1
    都議会結いと維新 5(うち女性2)人            1
    みんなの党 Tokyo 4(うち女性2)人            2
    都議会生活者ネットワーク 3(うち女性3)人       2
    無所属(深呼吸のできる東京) 1(うち女性1)人     0
    無所属(都議会再生)1人                   0

    現議員合計 127(うち女性25)人           21名(うち女性13名)回収

    回答者のうち、女性25名中13名と過半数の議員が回答している。
    公明党は与党でもあり、微妙な立場に置かれていることが回答に影響したと思われる。
    民主党は女性議員が一人もいないことが回収率に影響を与えているものと考えられる。
    回答者は、この問題に積極的に取り組む姿勢のある議員であると考えられる。
    ほとんどが、差別野次は人権侵害であるとし、何らかの意味での規定を設けてこのような野次・発言がなされないようにすべきだという意見であるが、違法ではないが不適切な発言であるという意見もあった。また議場における発言の禁止については表現の自由から問題があるという回答や、真相の究明については、処分を前提にしないことが真相究明につながるという意見もあった。発言の評価や対応について、意見の角度や配慮しなければならない事柄についてスタンスの違いが見える。また、野次への同調となるような「笑い」などは個人の良心に委ねるべきだという意見もあった。いずれにしてもそうした「笑い」自体戒めるべきであって、抑制されるべきだと考えているが、これにどう対処するかについての見解は分かれている。

    選択肢のどれが正解であるかというのではなく、回答のすべてを受け止め、尊重して、都議会及び都政に私たちの政策要求としてとりまとめ、その実現に向けて行動したいと考えている。

    アンケート質問項目と回答数(複数回答あり)は、別掲をご覧ください。

    この問題は、なぜ、社会的問題であって、私たち自身の問題であるのか。
    (1)民主主義の基盤として
    一つは、地方自治という私たちの生活と権利に直接かかわる都議会という場で、今後の日本の経済・政治・社会のあり方を左右する男女平等政策についての議論の席上行われたことからの問題である。
    差別発言は、本来自由であるべき人の精神と行動を制約して、持てる力を発揮させなくしてしまう。結婚や妊娠・出産にかかわる事柄については、人にはいえない、深いところで人の尊厳に触れるもので、人によっては消えない心の傷になっているという性質をもっている。採用面接に際して「今後の妊娠の可能性」を聞かれて身動きできなくなってしまい、面接に対する恐怖心から就職へのステップを踏めなくなってしまったという相談を受けたこともある。差別は、人の行動の自由を制約し、打ちのめしてしまうが、それが議会で行われたときには、民主主義的な討議の基盤を奪うことになる。男女平等政策のあり方が、このような発言によって制約されることになれば、重大な問題である。

    (2)この発言の基本的な性質は、公人による差別であること
    ● 自分が結婚したらいい、産めないのか、などの発言は、石原ババア発言と本質的に通底する差別発言である。女性の存在価値を産むことに特化して、まずは「産む」という社会的責任を果たしてから物を言えという意味に受け止められる。そういう意味では、「生殖機能を失っても女性が生き続けるのは地球にとって無駄で罪」という石原発言と同質である。
    ● 日本のジェンダー平等指数の低さは、女性の稼得力の低さと議員数など政治分野での女性比率の低さが大きく影響している。このような状況を決定づけているのが、妊娠・出産による不利益をなくしたり、育児などの家族的責任を男女が平等に担っていけるようにすること、さらには社会がそうしたことをフォローするシステムが決定的に不足しているということではなかったのか。
    ● 都議会では、都議会への欠席事由に病気とともに出産を認めているだけで、女性議員の妊娠・出産への配慮は全く確立されていない。したがって、この野次は、女性の存在価値は産むところにあり、そうした妊娠可能な年代にある女性は議員として政策を論議する場にいなくてもよいということになる。その意味で、この発言は女性差別撤廃条約2条の差別の定義に該当する。そして、東京都男女平等参画基本条例は、14条で性別による権利侵害を禁止しており、本件野次がこの14条に抵触する行為であることは明白である。

    (3) 東京の未来設計に女性の声を反映させるうえで重要なこと
    ● 将来の少子高齢化が急速にすすみ、地域社会の持続性が問われているが、その未来をどうするかという議論を、このような発言がまかり通る都議会に委ねておくわけにはいかない。
    ● 東京都男女平等参画条例は、7条で、都民及び事業者は、男女平等参画を阻害すると認められること、又は、男女平等参画に必要と認められることがあるときは、知事に申し出ることができると定め(1項)、知事は、前項の申し出を受けたときは、男女平等参画に資するよう適切に対応するものと定めている。
    ● 今回の都議会における野次問題については、前記趣旨に基づいて、議会運営のあり方について、規則を改正し、男女平等参画基本条例の趣旨目的を実現する規定を整備するよう求める必要があり、条例に基づく責任として、都知事にこれに対応してもらうことが重要。
    ● アンケートの回答でも、規則などの改正・整備の必要は、各議員からその必要性があるとの回答をいただいている。このようなことが問題になったときに、必ず提起されることとして、表現の自由を保障する観点から、禁止するより、個人に委ねるべきだという考えもあるだろう。しかし、逆に、表現の自由の基盤には思想の自由があり、差別によって自由な精神活動が妨げられれば表現の自由もないことを念頭に置くべきだと思う。とくに野次は、その必要性も社会的相当性もないもので、「暴言」そのものといってよい。この野次は、日本の社会全体にある根深い女性に対する偏見や固定観念を象徴している。

  • 2014.6.23 都議会議場における差別的野次に関するアンケートを都議会議員に送付

    投稿 6月 24th, 2014

     野次を飛ばした議員が名乗りでましたが、野次は一人ではないようです。舛添都知事も笑ったという事実は消せません。
    公人による性差別をなくす会では、6月23日付で、都議会議員に、以下のアンケートを送付しました。締め切りは7月5日です。
    結果は、このHP上でお知らせします。
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