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公人、国会議員用資料
公人、国会議員用資料
公人の女性差別発言は人々の差別意識を煽り助長するものです。
公人の女性差別発言をなくすために
公人による性差別をなくす会
http:/mndds.pairsite.com/koujinseisabetsu/
日本国憲法は基本的人権の尊重と性による差別を禁じています。
・第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
・第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法の他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
・第14条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。
憲法第10章は基本的人権を明記し、公人に憲法と条約の遵守義務を定めています。
・第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
・第98条 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。
②日本国が締結した条約及び確立した国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
・第99条 天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
女性差別撤廃条約は、女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃することを求めています。
国連が1979年に採択したこの条約を、日本は1985年、世界で72番目に批准しました。
第1条【女性差別の定義】この条約の適用上、「女性に対する差別」とは、性にもとづく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女性(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。
第2条【締約国の差別撤廃義務】締約国は、女性に対するあらゆる形態の差別を非難し、女性に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びそのために次のことを約束する。
(a)男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、かつ、男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
(b)女性に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む)をとること。
(c)女性の権利の法的な保護を男性との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも効果的に保護することを確保すること。
(d)女性に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従って行動することを確保すること。
(e)個人、団体又は企業による女性に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
(f)女性に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(g)女性に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。
日本政府は締約国の義務として女性差別撤廃委員会にすでに6回の報告書を提出し、委員会の審査はこれまで4回行われました。もっとも新しい審査は2009年7月23日に行われ、最終見解が8月6日、日本政府に示されました。
1)2009年8月に出された日本政府に対する最終見解(公人の性差別発言関連項目のみ抜粋)
◎ 委員会は、公人による性差別的な発言が頻繁に起きていること、及び女性に対する言葉の暴力を防止処罰する措置が講じられていないことに懸念を表明する。(第29項)
◎ 委員会は、政府の職員(公人)が、女性の品位を下げ、女性を差別する家父長的仕組みを助長させるような侮辱的な発言をしないことを確保するよう、言葉による暴力の犯罪化を含む対策を取ることを締約国に要請する。(第30項)
2)最終見解が出るに至った審査経過
◎ 前回の2003年審査における委員の発言
ハンガリーのモルバイ委員(石原都知事の「ババァ発言」資料を手にしながら)
「これが事実ならNGOだけがフォローするのではなく、政府は緊急に謝罪し、公人の反性差別のためのトレーニングにむけて措置をとるべきである。」
◎ 2009年審査にむけた女性差別撤廃委員会事前作業部会からの日本政府に対する質問
「2003年の審査において公務員の性差別発言の問題が委員会委員により提起された。女性の品位を下げ、女性を差別する不平等で父権的な制度を象徴する侮蔑的な性差別発言を公務員が行わないことを確保するために、どのような措置が取られたか、示して下さい。」
◎ 事前作業部会からの質問に対する日本政府の回答
「男女共同参画社会の形成促進に向けた機運を広く醸成するための広報啓発活動として、ホームページの開設、広報誌やビデオなどの作成・配布及び「男女共同参画づくりに向けての全国会議」の開催等、各種広報啓発行事の開催、協力等を行っている。また近い将来地域のリーダーとして活躍が期待される男女や地方公共団体職員等に向けた研修を行うとともに、地方公共団体職員を集めた会議を開催した政策情報を提供し、地方公共団体における男女共同参画に関する取り組みを推進している。」
◎ 2009年審査中の委員の発言
クロアチアのシモノビッチ委員
「東京都知事が高齢女性を侮辱する発言を行った。これは日本女性だけでなく世界の女性を侮辱するものである。女性の政治家たちは強く反応していないのか、内閣府はどのように対応しているのか、なぜ政治家たちは強い反応を示さないのか。」
スロベニアのノイバウアー議長
「固定的役割分担に基づく偏見や慣習をなくすための義務の実施が遅れている。一つは教育制度である。・・・もうひとつは知事や公人による独身女性や高齢女性についての発言である。メディアの役割をどうとらえるのか。・・・」
フランスのアメリーン委員
「(政治参加について)日本の女性の代表性は低い。文化の中の保守主義が理由にある。社会に残る侮辱や性差別的な発言に対して、政府はもっと精力的に対抗せよ」
3)日本政府は女性差別撤廃条約締約国として、最終見解を誠実に受け止め、以下のことを実施する義務があります
◎ すべての政策の前提として、国内法に女性差別の定義を明確にすること。
◎ 求められているのは、一般国民や地方公務員に対する一般的な広報啓発活動ではない。
公人による性差別発言を防止し、犯罪として処罰することを含む対策である。
政府は、憲法、女性差別撤廃条約に基づき、すべての公人に対して性差別発言を禁止する法的対策を講じるべきである。
公人による性差別発言をなくすために ―私たちの望むこと―
1)女性に対する差別禁止を国際的基準に
・国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の「最終見解(勧告)」(2009年8月)の実行
・女性差別撤廃条約選択議定書の締結
2)公人による性差別発言禁止の法制化
・公人による性差別発言は、扇動効果があり影響力も大きく、法による規制が必要である。
・公人は憲法遵守義務があり、憲法違反の差別発言に対しては法による規制が必要である。
・公人による性差別発言は、「人間の尊厳に対する罪」として法に定義づける。
・公人による性差別発言に対しては、刑罰化が必要である。
・公人による性差別発言をなくしていくための機関を設置する。
3)公人による性差別発言をなくすための機関
①機関は政府から独立していること
・機関は、人権問題、女性差別問題に詳しい職員ならびに市民や専門家で構成すること。
・機関で働く人々については、平等な取り扱いが行われること。
②機関の役割
ア、差別からの救済
・職権で差別の調査、告発、和解の斡旋を行う。
・機関が、差別の被害者等に代わって訴訟を行うことができる。
・訴訟の場合の挙証責任は、性差別発言を訴えられた公人が「差別ではない」ことを立証しなければならない。
イ、防止のための研修
・研修の対象
政治家 国務大臣、国会議員
自治体の首長、地方議員
司法関係者 - 裁判官、検察官、弁護士、司法研修所教官、司法修習生
公務員 - 国家公務員、地方公務員、教職員
準公人 など
・機関による研修カリキュラムの作成
・機関スタッフ及び機関が推薦する講師等による研修の実施
ウ、立法、司法、行政の各機関への助言と協力
機関の取り組みから見えてきたことなどについて、各機関への改善点を助言すると同時に、政策、業務等へ協力する。
公人の女性差別発言に対する訴訟の実例 ―石原東京都知事に謝罪と名誉毀損に関する損害賠償を求めたもの—
1)石原「ババァ発言」とは
2001年11月6日号『週刊女性』独占激白「石原慎太郎都知事吠える!」からの抜粋
「これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典がいっているんだけど、〝文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ〟なんだそうだ。〝女性が生殖能力を失っても生きているってのは、無駄で罪です〟って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって……。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)。
2)石原「シャケ発言」とは
2005年2月25日、都庁定例記者会見で、一審判決の感想を記者から質問されて
「判決よりも裁判そのものが不思議なんですね」
「動物というのはみんな生殖、種の保存のために四苦八苦して、シャケだって死にものぐるいになって上がってきて、産卵したら死ぬわけでしょ。カラスが目玉しか食わないような無残な形。だけど人間の場合は違う」
「はじめて聞いたことにショックを受けたから、それを取り次いだだけですよ、ある会合で。そこに変な左翼がいたんだよ。それが喧伝したわけだ。まあ、あれは裁判のための裁判で、あの人たちのパフォーマンス。その域を出ないね。」
3)被害の実例
・ 子宮のない私、生理のない娘、でも「生きててよかったネ」
私は、石原都知事の発言を聞いて「エッ、何それ?」とビックリ。私はその発言の1年前に子宮摘出したばかり。地域の信頼や人間関係を大切にしながら地元で働き、自分の人生の中で今が一番充実している年齢だと自負している。娘は摂食障害で長い間生理がない。生命の危機にまで陥ったことがあるが、今回復し、南の島で自活している。生きているだけでいい。「生きててよかったネ」と言いたい。石原知事はそんな娘まで傷つけたのだ。
・私に「死ね」ということですか?
私は47歳。私には子どもがいない。妊娠・出産・子育てをしたいと強く願っていたが、3度の流産の末、あきらめざるをえなかった。石原知事の発言は胸に突き刺さる言葉だった。私は私の胸に突き刺さったこの矢をみてほしい。それで流された多くの血と涙を見てほしい。
4)判決の問題点
◎ 第一次裁判(ババァ発言)東京地裁判決(2005年2月24日)
裁判所は、発言は都知事としての見解であり、憲法や法令・女性差別撤廃条約等に反し、不適切・不用意と認めました。しかし発言は女性全般に対するものであり、個々人の権利、利益に対する影響は、それだけ希薄化されたものになると名誉毀損や損害賠償の請求を棄却しました。
◎ 第一次裁判東京高裁判決(2005年9月28日)
石原発言は地裁判決同様に違法性を認めつつ、原告らの控訴を棄却しました。第一次裁判東京地裁判決後の都庁定例記者会見で行った更なる差別発言の謝罪と撤回、東京都には都のホームぺージに掲載さている石原発言の削除などを求めて、石原都知事と東京都に対し、東京地裁へ提訴。
◎ 第二次裁判(シャケ発言)東京地裁判決
(東京地裁は、石原都知事と東京都に対する裁判を分離した)
・石原都知事に対しては、「公務上の行為に不法性があったとしても個人の責任は問われない」と、請求棄却。(2007年3月27日)
・ 東京都に対しても、石原都知事の歪曲、曲解、強弁を「事実」と認め、原告の請求を棄却しました。(2007年7月31日)
◎ 第二次裁判東京高裁判決(2008年6月11日)
東京高裁は、東京地裁の判決を容認し、請求を棄却。
◎ 第二次裁判最高裁判所上告棄却(2008年11月11日)
上告および上告受理申し立てを棄却し、提訴から6年間の裁判闘争は終結となった。
公人の女性差別発言をなくすために
石原都知事の女性差別発言を許さず、公人の性差別をなくす会
http:/mndds.pairsite.com/koujinseisabetsu/日本国憲法は基本的人権の尊重と性による差別を禁じています。
・第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
・第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法の他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
・第14条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。
憲法第10章は基本的人権を明記し、公人に憲法と条約の遵守義務を定めています。
・第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
・第98条 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。
②日本国が締結した条約及び確立した国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。・第99条 天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
女性差別撤廃条約は、女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃することを求めています。
国連が1979年に採択したこの条約を、日本は1985年、世界で72番目に批准しました。第1条【女性差別の定義】この条約の適用上、「女性に対する差別」とは、性にもとづく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女性(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。
第2条【締約国の差別撤廃義務】締約国は、女性に対するあらゆる形態の差別を非難し、女性に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びそのために次のことを約束する。
(a)男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、かつ、男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
(b)女性に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む)をとること。
(c)女性の権利の法的な保護を男性との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも効果的に保護することを確保すること。
(d)女性に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従って行動することを確保すること。
(e)個人、団体又は企業による女性に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
(f)女性に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(g)女性に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。日本政府は締約国の義務として女性差別撤廃委員会にすでに6回の報告書を提出し、委員会の審査はこれまで4回行われました。もっとも新しい審査は2009年7月23日に行われ、最終見解が8月6日、日本政府に示されました。
1)2009年8月に出された日本政府に対する最終見解(公人の性差別発言関連項目のみ抜粋)
◎ 委員会は、公人による性差別的な発言が頻繁に起きていること、及び女性に対する言葉の暴力を防止処罰する措置が講じられていないことに懸念を表明する。(第29項)
◎ 委員会は、政府の職員(公人)が、女性の品位を下げ、女性を差別する家父長的仕組みを助長させるような侮辱的な発言をしないことを確保するよう、言葉による暴力の犯罪化を含む対策を取ることを締約国に要請する。(第30項)2)最終見解が出るに至った審査経過
◎ 前回の2003年審査における委員の発言
ハンガリーのモルバイ委員(石原都知事の「ババァ発言」資料を手にしながら)
「これが事実ならNGOだけがフォローするのではなく、政府は緊急に謝罪し、公人の反性差別のためのトレーニングにむけて措置をとるべきである。」◎ 2009年審査にむけた女性差別撤廃委員会事前作業部会からの日本政府に対する質問
「2003年の審査において公務員の性差別発言の問題が委員会委員により提起された。女性の品位を下げ、女性を差別する不平等で父権的な制度を象徴する侮蔑的な性差別発言を公務員が行わないことを確保するために、どのような措置が取られたか、示して下さい。」◎ 事前作業部会からの質問に対する日本政府の回答
「男女共同参画社会の形成促進に向けた機運を広く醸成するための広報啓発活動として、ホームページの開設、広報誌やビデオなどの作成・配布及び「男女共同参画づくりに向けての全国会議」の開催等、各種広報啓発行事の開催、協力等を行っている。また近い将来地域のリーダーとして活躍が期待される男女や地方公共団体職員等に向けた研修を行うとともに、地方公共団体職員を集めた会議を開催した政策情報を提供し、地方公共団体における男女共同参画に関する取り組みを推進している。」◎ 2009年審査中の委員の発言
クロアチアのシモノビッチ委員
「東京都知事が高齢女性を侮辱する発言を行った。これは日本女性だけでなく世界の女性を侮辱するものである。女性の政治家たちは強く反応していないのか、内閣府はどのように対応しているのか、なぜ政治家たちは強い反応を示さないのか。」
スロベニアのノイバウアー議長
「固定的役割分担に基づく偏見や慣習をなくすための義務の実施が遅れている。一つは教育制度である。・・・もうひとつは知事や公人による独身女性や高齢女性についての発言である。メディアの役割をどうとらえるのか。・・・」
フランスのアメリーン委員
「(政治参加について)日本の女性の代表性は低い。文化の中の保守主義が理由にある。社会に残る侮辱や性差別的な発言に対して、政府はもっと精力的に対抗せよ」3)日本政府は女性差別撤廃条約締約国として、最終見解を誠実に受け止め、以下のことを実施する義務があります
◎ すべての政策の前提として、国内法に女性差別の定義を明確にすること。
◎ 求められているのは、一般国民や地方公務員に対する一般的な広報啓発活動ではない。
公人による性差別発言を防止し、犯罪として処罰することを含む対策である。
政府は、憲法、女性差別撤廃条約に基づき、すべての公人に対して性差別発言を禁止する法的対策を講じるべきである。
公人による性差別発言をなくすために ―私たちの望むこと―1)女性に対する差別禁止を国際的基準に
・国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の「最終見解(勧告)」(2009年8月)の実行
・女性差別撤廃条約選択議定書の締結2)公人による性差別発言禁止の法制化
・公人による性差別発言は、扇動効果があり影響力も大きく、法による規制が必要である。
・公人は憲法遵守義務があり、憲法違反の差別発言に対しては法による規制が必要である。
・公人による性差別発言は、「人間の尊厳に対する罪」として法に定義づける。
・公人による性差別発言に対しては、刑罰化が必要である。
・公人による性差別発言をなくしていくための機関を設置する。3)公人による性差別発言をなくすための機関
①機関は政府から独立していること
・機関は、人権問題、女性差別問題に詳しい職員ならびに市民や専門家で構成すること。
・機関で働く人々については、平等な取り扱いが行われること。
②機関の役割
ア、差別からの救済
・職権で差別の調査、告発、和解の斡旋を行う。
・機関が、差別の被害者等に代わって訴訟を行うことができる。
・訴訟の場合の挙証責任は、性差別発言を訴えられた公人が「差別ではない」ことを立証しなければならない。
イ、防止のための研修
・研修の対象
政治家 国務大臣、国会議員
自治体の首長、地方議員
司法関係者 - 裁判官、検察官、弁護士、司法研修所教官、司法修習生
公務員 - 国家公務員、地方公務員、教職員
準公人 など
・機関による研修カリキュラムの作成
・機関スタッフ及び機関が推薦する講師等による研修の実施
ウ、立法、司法、行政の各機関への助言と協力
機関の取り組みから見えてきたことなどについて、各機関への改善点を助言すると同時に、政策、業務等へ協力する。公人の女性差別発言に対する訴訟の実例 ―石原東京都知事に謝罪と名誉毀損に関する損害賠償を求めたもの—
1)石原「ババァ発言」とは
2001年11月6日号『週刊女性』独占激白「石原慎太郎都知事吠える!」からの抜粋
「これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典がいっているんだけど、〝文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ〟なんだそうだ。〝女性が生殖能力を失っても生きているってのは、無駄で罪です〟って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって……。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)。2)石原「シャケ発言」とは
2005年2月25日、都庁定例記者会見で、一審判決の感想を記者から質問されて
「判決よりも裁判そのものが不思議なんですね」
「動物というのはみんな生殖、種の保存のために四苦八苦して、シャケだって死にものぐるいになって上がってきて、産卵したら死ぬわけでしょ。カラスが目玉しか食わないような無残な形。だけど人間の場合は違う」
「はじめて聞いたことにショックを受けたから、それを取り次いだだけですよ、ある会合で。そこに変な左翼がいたんだよ。それが喧伝したわけだ。まあ、あれは裁判のための裁判で、あの人たちのパフォーマンス。その域を出ないね。」3)被害の実例
・ 子宮のない私、生理のない娘、でも「生きててよかったネ」
私は、石原都知事の発言を聞いて「エッ、何それ?」とビックリ。私はその発言の1年前に子宮摘出したばかり。地域の信頼や人間関係を大切にしながら地元で働き、自分の人生の中で今が一番充実している年齢だと自負している。娘は摂食障害で長い間生理がない。生命の危機にまで陥ったことがあるが、今回復し、南の島で自活している。生きているだけでいい。「生きててよかったネ」と言いたい。石原知事はそんな娘まで傷つけたのだ。
・私に「死ね」ということですか?
私は47歳。私には子どもがいない。妊娠・出産・子育てをしたいと強く願っていたが、3度の流産の末、あきらめざるをえなかった。石原知事の発言は胸に突き刺さる言葉だった。私は私の胸に突き刺さったこの矢をみてほしい。それで流された多くの血と涙を見てほしい。4)判決の問題点
◎ 第一次裁判(ババァ発言)東京地裁判決(2005年2月24日)
裁判所は、発言は都知事としての見解であり、憲法や法令・女性差別撤廃条約等に反し、不適切・不用意と認めました。しかし発言は女性全般に対するものであり、個々人の権利、利益に対する影響は、それだけ希薄化されたものになると名誉毀損や損害賠償の請求を棄却しました。
◎ 第一次裁判東京高裁判決(2005年9月28日)
石原発言は地裁判決同様に違法性を認めつつ、原告らの控訴を棄却しました。第一次裁判東京地裁判決後の都庁定例記者会見で行った更なる差別発言の謝罪と撤回、東京都には都のホームぺージに掲載さている石原発言の削除などを求めて、石原都知事と東京都に対し、東京地裁へ提訴。
◎ 第二次裁判(シャケ発言)東京地裁判決
(東京地裁は、石原都知事と東京都に対する裁判を分離した)
・石原都知事に対しては、「公務上の行為に不法性があったとしても個人の責任は問われない」と、請求棄却。(2007年3月27日)
・ 東京都に対しても、石原都知事の歪曲、曲解、強弁を「事実」と認め、原告の請求を棄却しました。(2007年7月31日)
◎ 第二次裁判東京高裁判決(2008年6月11日)
東京高裁は、東京地裁の判決を容認し、請求を棄却。
◎ 第二次裁判最高裁判所上告棄却(2008年11月11日)
上告および上告受理申し立てを棄却し、提訴から6年間の裁判闘争は終結となった。