• 会の紹介(趣旨)

    「石原都知事の女性差別発言を許さず、公人による性差別をなくす会」とは

    石原都知事の女性差別発言裁判を通じて

    略称「公人による性差別をなくす会」は、石原都知事の女性差別発言(いわゆる「ババァ発言」)に対して裁判で発言の撤回と謝罪を求めて活動した「石原都知事の女性差別発言に怒り、謝罪を求める会」を母体として、2009年4月に発足しました。

    ph-6year2002年12月の提訴以来6年間にわたった裁判は、2008年11月の最高裁の上告棄却決定をもって終結しました。裁判の結果は、日本の法制度の限界に阻まれ、原告の請求を認めさせることはできませんでしたが、裁判を通じて私たちは今後につながる多くのものを得ることができました。提訴当初は、果たして裁判になるのかと危ぶまれ、原告のまわりの男性たちからは「あれはジョークだよ」「そんなことに目くじらたてるなよ」と揶揄されもしましたが、6年間真正面から裁判に取り組むことを通じて次の課題が見えてきました。

    「言葉の暴力」を見えるものにする取り組み

    石原裁判の中でもっとも大切な取り組みは、石原都知事の発言が女性差別にもとづく言葉の暴力であることを一人一人の体験から証言していくことでした。その中で石原発言の差別性、暴力性を言葉として明らかにしていきました。また、石原発言が「不特定多数の女性を対象とする」ものであるがゆえに個人の名誉を毀損するものではないとされることに対し、現実の社会や生活シーンにおいては、それは一人ひとりの女性の名誉を傷つける差別発言であることを明らかにしていきました。

    しかし、判決では、石原発言が「憲法と国内法令、国際人権条約の趣旨に反する不適切な発言」であるとしつつも、「特定の個人の名誉を毀損するものではない」として私たちの主張は退けられました。代理人の中野麻美弁護士は裁判終結後の報告集会で「法と裁判は支配的言語によって行われる」と述べました。裁判の過程で私たちはまさにそのことを痛感しました。そして、これまでも多くの女性たちが、労働裁判で、セクシュアルハラスメント裁判で、この壁を乗り越えひとつひとつ「被害者の言葉」を法に認めさせてきたのだという事実に思い至りました。「性差別による言葉の暴力」に対して私たちもこの闘いを始めたのだと、思っています。

    続く公人の性差別発言

    石原都知事の「ババァ発言」に対し女性たちの批判が巻き起こったにもかかわらず、政治家によるあからさまな女性差別発言が続いています(資料参照「公人の性差別発言記録」へ)。日本には「ヘイト・スピーチ(憎悪表現)」を規制する法律も、公人の公然たる女性差別を裁く法律もありません。公人の女性差別発言はまさに野放し状態です。このような状態をいつまでも放置しておくことはできません。

    私たちは石原裁判の中で気付いたことを土台に、新しく「石原都知事の女性差別発言を許さず、公人による性差別をなくす会」を発足させることにしました。

    「公人による性差別をなくす会」がめざすもの

    この会は社会から女性差別をなくすために、とりわけ政治家をはじめとする公人による女性差別(発言)をなくすことを目的として活動する個人会員制の場です。

    会の活動として、公人の性差別(発言)を見逃さず、発言の意味するものを人々にあきらかにし、発言の撤回と謝罪を求め、それが人権侵害であるという社会的認識を作り出し、差別発言を規制する制度やシステム作りを含めて学習・議論・情報交換し、追求していきます。

    ここでの公人とは、憲法99条、国家公務員法38条、地方公務員法16条が規定する公務員、その他の特別職公務員、および準公人とされる社会的地位・影響力を持つ人々を指します。

    社会から女性差別をなくすために、まず公人の性差別を許さない社会的意識を作り上げていきたいと思います。私たちはいつの間にかうやむやにされてしまう公人の性差別発言をチェックし、発言の意味するものを問い、撤回と謝罪を求めます。私たちは“公人の性差別”にこだわって活動していきます。