• 杉田水脈議員の「女性はいくらでもウソをつける」発言についての要請

    投稿 10月 22nd, 2020

    私たち「公人による性差別をなくす会」は、16日付で、政府、国会、各政党に、下記に速やかに応えていただくよう要請文を送付しました。

    2020年10月16日

    内閣総理大臣  菅義偉  様

    衆議院議長   大島理森 様

    参議院議長   山東昭子 様

    自由民主党総裁 菅義偉  様

    (写し 各党・会派 御中)

    公人による性差別をなくす会

    1. 杉田水脈衆議院議員(自民党比例区)が、党会合において、性暴力被害者支援を巡り、「女性はいくらでもうそをつけますから」との発言をしたと報じられました。杉田議員は9月26日のブログ記事「一部報道における私の発言について」においてこの発言を否定していましたが、その後発言を認め、10月1日付けブログ記事「内閣第一部会・内閣第二部会に於ける私の発言について」において、以下のような訂正を行いました。

    以下は10月1日付けブログからの引用です。(下線は当会が付した訂正とお詫びのポイント)

    ①当時の私の発言を精査いたしましたところ、最近報じられている慰安婦関係の民間団体の女性代表者の資金流用問題の例をあげて、なにごとも聖域視することなく議論すべきだと述べる中で、ご指摘の発言があったことを確認しましたので、先のブログの記事を訂正します。事実と違っていたことをお詫びいたします。

    ②私の発言の趣旨は、民間委託の拡充だけではなく、警察組織の女性の活用なども含めて暴力対策を行なっていく議論が必要だということであり、女性を蔑視する意図はまったくございません

    ③民間団体の女性代表者の例を念頭に置いた話の中で、嘘をつくのは性別に限らないことなのに、ご指摘の発言で女性のみが嘘をつくかのような印象を与えご不快な思いをさせてしまった方にはお詫び申しあげます。

    ④女性であろうと男性であろうと、暴力や性犯罪は、人間の尊厳を踏みにじる許されない犯罪であり、私自身もひとりの人間として、啓発、相談や警察・司法の関与など、様々な方法で撲滅していくべきだと考えております。

     

    2. そもそも性暴力に関し「女性はいくらでも嘘をつける」という発言自体、男性優位に基づく差別的偏見に基づくものであって、加害者を擁護し、ひいては差別と性暴力を容認するものです。またそれは、民間支援団体において身を粉にして性暴力被害者支援を行ってきた女性たちの努力をも侮辱し貶めるものです。それが国会議員である公人の口から発せられたことの意味は極めて深刻です。私たちは、このような考え方やふるまいが「二次加害」として被害者を追い詰め、社会のあらゆる分野において、立ち直れないほどの打撃を与え、自死に追いやり、また精神と行動の自由を奪ってきたことを、枚挙にいとまがないほど体験させられてきています。この発言による打撃は、何重にもわたって人々の人権を侵害するものであり、それが自ら発言したことさえ記憶にとどめないほど、血肉化された無意識の価値観の表明として行われたことに、驚きの念を禁じ得ません。

     

    3. 同議員は、これまでも公の場での差別的質疑や意見表明を繰り返し、日本には女性差別撤廃条約は必要ないとか、LGBTは子どもを産まないから生産性がないなど、人間の尊厳と自由・平等についての理解に著しく欠け、その基本的価値を根底から否定してきました。これらの意見表明は、その表現の形態・態様からみて同議員が意図してきたものです。

    今回の発言について、同議員は、「女性を蔑視する意図はまったくない」としながら「女性のみが嘘をつくかのような印象を与えてご不快な思いをさせてしまった方にはお詫びする」としていますが、このような「お詫び」は、発言に異議を唱える市民に対する意図的侮辱であり、自己の見解の正当性を保持しようとするものです。すなわち、このような説明では、二度とこの種の発言を繰り返さないことの担保となるものではありません。

     

    4. 私たちは、これまでも繰り返される公人の差別発言にその都度抗議し、その撤回と反省を求めてきました。今回またもや公人による前記発言がなされたことから、私たちは、国権を左右する政治が市民社会から隔離・聖域化され、「それをしても許される」「政治にさして影響することはない」という暗黙の了解が支配的になっているのではないかという疑念を抱かざるを得ません。そして、公人による差別発言の社会的影響力、とりわけ、市民の精神と行動の自由を制約し、時として生命・身体の安全を脅かしていくことに直面させられているものとしては痛恨の極みであり、二度とこのような発言を繰り返さない政治制度上の担保を求めます。

    政府、国会、各政党には、下記に速やかに応えていただくよう強く要請します。

     

     

    1 政府及び国会は、女性に対する差別と暴力を根絶する政策において、「性暴力について女性はいくらでも嘘をつける」とする考え方をとるものではなく、こうした考え方やふるまいを根絶するために努力することを明らかにすること。

    2 発言議員の所属政党においても、女性に対する差別と暴力の根絶が社会的正義実現の重要な柱であることを明らかにし、そのために二度とこのような発言を所属議員が繰り返すことがないようにすることを、市民社会に向かって宣言すること。

    3 発言議員の所属政党は、今後、前記発言をなしたものを国政選挙における候補者として公認および推薦しないこと、比例名簿に搭載しないことを約束すること。

    4 公人の差別発言については、辞職勧告を含む制裁措置を法制化すること。

    以上

    杉田水脈発言に関する要請

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