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報告です!9.22シンポ 今、大阪で何が起きているのか?「ハシモト」的手法を暴く
投稿 11月 19th, 2012日本維新の会と太陽の党が合併した。
石原慎太郎前都知事が代表で、橋下徹は代表代行という姿になって。両人とも公人による性差別をなくす会が追及してしてきた問題をそのまま引っさげての就任だ。もちろん、私たちは黙ってはいない。黙っている気はない。以下は、9月22日に開いた「ハシモト」的手法を暴くのシンポジウムの報告です。橋下市長が、府市で何をやっているか、きたのか見事に浮き彫りにされています。
シンポジウム報告 今、大阪で何が起きているのか? 「ハシモト」的手法を暴く
2012年9月22日、日比谷図書文化館コンベンションホールにおいて
パネリスト:白石理ヒューライツ大阪所長、中野冬美女性のための街かど相談室 ここ・からサロン」共同代表、山口二郎北海道大学大学院教授・政治学
コーディネーター:中野麻美弁護士。元石原「ババア」発言訴訟代理人コーディネーターの中野さんは、橋下の言動が石原訴訟で問われた言葉の暴力と重なると指摘、「政治家としては言えないタブーを一気に突き破って、本音が噴出し垂れ流され始めた…強烈な差別発言を投げつけた相手が、反論する手段を持ち合わせず、社会関係の中に潜む差別のために声を大にして反撃できないことに乗じて、差別発言を繰り返す…メディアはそうした状況を“都知事吠える”として人々の関心をひこうとする。…差別や暴力は小さなうちに叩き潰さなければ、大きな威力を発揮して私たちから自由を奪い取る」と、対抗言論を封殺する言動を助長するメディアにも触れながら、橋下徹的手法が横行する現在、市民としてこれからどうするかを問うための集会であると訴えた。
「橋下府政、市政の下での人権と民主主義原則」・・・白石 理さん
2008年以降、大阪で大変なことが起っている。橋下は、「役に立たないものに行政はお金をかける必要はない」と言い、費用対効果の見えにくい多くの人権、女性、平和団体などの補助金が切られた。三交響楽団のうち力の弱いセンチュリー交響楽団などから切っていく。攻撃のターゲットを決め、集中攻撃をかけて潰す。私のところはまだ延命できているが、人権団体を支えるところがなくなったら、だれが、どう埋めるのか。
行政はもうだめ。行政は全体への奉仕者と言う考えを枉げ、財政健全化に合わない仕事はしない。橋下は行政を企業と同一視、ビジネス原則にそって再編成している。教育分野では、個人の自由な選択と多様性を唱えるが、言葉の遊びにすぎない。教員への統制を強め、子どもへの影響が大きい。彼は、理由に、「子どもたちに夢と希望を与えていない」との理由で人権博物館や大阪国際平和センターを切る。歴史の事実をなかったものとして無視してしまうことは、表現の機会を奪い、情報へのアクセスを妨害する人権問題である。
彼にハシズムなどというイズムはない。常に逃げ道を用意しながら発言、憲法改正と言わずに、憲法を議論する、と呼び掛ける。大阪のメディアへの露出度は尋常ではない。メディアが振り向かなければ自分が消えるので、次々と刺激的な言葉で攻撃罵倒を繰り返す。口にするのも憚られる“バカ”“くそったれ”を繰り返す。“大阪市民、府民の支持が高い”→“民意は私を認めた”→“ボクが決める”という彼の選挙絶対主義、多数絶対主義は決して民主主義ではない。本来の民主主義は少数者の人権を尊重するもの。それを否定する傾向は、大阪ばかりかあちこちに広がっている。ナチズムを荒唐無稽と言えなくなった時代になったと思っている。これからは、一人一人が大切にされる安心・安全な社会をつくるために、市民の力を強化していかねばならない。その動きはすでに出ていて、11月から12月大阪市民の手で、民主主義と人権を守るためのフェスタが準備されているところだ。「クレオ大阪廃止問題から見る“橋下維新”」・・・中野冬美さん
私は、橋下からDVを受けているような感じだ。彼の暴力は、“暴言”“お金を出さない”“人の繋がりを断ち切る”の三つだ。
橋下市長は、大阪市政の施策・事業見直し試案で、男女共同参画センター“クレオ”の全5館廃止を打ち出した。男女共同参画事業は役割を終えたというのが理由の一つ。私たちは「国際的女性の地位はGGIが135か国中98位」「役割を終えたという判断自体、認識不足を露呈」「男女共同参画施策の放棄」と反論した。声明文(資料)に試案反対意見を具体的に述べた。もちろん、利用する側にも忸怩たる反省点があり、女性センターのゲットー化やカルチャーセンター化、そこで働く女性たちの最悪の労働環境も問題だ。
ただ、相談事業は、案は身近な施設で対応するとしているが、女性の相談は複合的。二次被害の恐れもある。DVや性暴力の被害者、母子家庭の母など、困難の重なる女性たちが対象だ。加害者を恐れ、身近かな場所を避けることもある。男女共同参画の視点を欠いた場所では対応は無理。クレオの廃止は、困難を抱えた女性たちを排除し、孤立させる。
教育問題への介入も認識不足。発達障害は家庭が原因だと家庭教育への介入を試みたが、失敗した。しかし、地域の子育て支援施設“子どもの家”を廃止して学童保育へ合体せよという。学童保育は小学生で学校内。18歳未満を対象に、必要なら食事、宿泊など柔軟な保護や支援を行う子どもの家とは性格が違う。教育バウチャーなど、無用のアイデアだ。
コスプレ騒動の釈明記者会見はまるでマッチョの男たちの集まりのようだった。“女性を買う”ことを“妻に謝る”ことで帳消しにすることは、行為そのものを笑い話にし、女性を妻と買われる女に二分する差別的発想だ。
さらに、人が集まること、集まる場を徹底的に潰そうとしている。市民が勉強、議論するのは批判が怖いからだろう。民主主義、平和、人権などを再構築しなくてはならない。「政治家の質を上げるために何が必要か」・・・山口二郎さん
7月にリバティ大阪(人権博物館)を訪れた。橋下市長になって展示物に手が加えられ、テーマが不明になっている。例外的にユージン・スミスの水俣病資料があり、川本さんの雄姿を寫眞で見て「権利は勝ち取るものだ」と野彼の言葉を思い出した。石原・橋下は人権に悪態をついている。それが民主主義に対する不信につながり、不満分子が拍手喝采を送る。幻滅の行き着く先ともいえるが、政治は本道から考えるべきだ。ヒーローを待っても救いはない。堀田善衛も書いているように幻滅を織り込んで民主主義を考えねばならない。橋下への期待は乱暴だ。
民主党には、“小選挙区が作った方便政党”と“市民が主役”と言う二つの面がある。鳩山・菅の退陣の理由は、日本の政治にあるタブー(安保、原発、ジェンダー、国体、差別、権力構造など)に触れたこと。これは政権交代が突きつけた問題だ。さらにメディアの偏向がある。メディアはダブルスタンダードで動いている。石原、橋下は便利な商品であって、国体を守る範囲の暴言は許されてしまう。ナショナリズムとポピュリズムは重なることによって最悪、政治の破壊につながる。
これから、社会への帰属と政治における常識を保つには、孤立した個人の暴発でなく民意を質の良いものにしていかねばならない。トクビルの言う衆愚政治でない民主政治をどう作るかという時、中間団体の意味は大きい。
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後半は、休憩中に集められた質問(下線部)への回答を含めながら、パネリストの再度の意見開陳が行われた。回答は割愛するが、以下のような質問が取り上げられた。
・大阪のメディアはどうなっているのか? ・橋下以前との比較は? ・ただの人気取りか? ・西成特区構想について聞きたい ・大阪の女性の参画状況は? ・市民メディアが必要だと思うがどうか? ・橋下の組合嫌いの理由は何か? ・女性センターについての女性の連帯は? ・なぜ憲法や上位法で条例を裁けないのか? ・政治的な面の無視については? ・中間団体に今、期待できるだろうか? ・民主も自民も右旋回し、民主主義の未来はどうなる? ・メディアの現状をどう見る? ・自治体の長が国政政党の代表を務めることはおかしいのでは? など。◆まとめ
・白石理:今の日本に人権教育はなく、生活の場だけ。次の世代は人権に関する知識なしに社会を担っていくことになる。人権基盤型教育を根づかせたい。
・中野冬実:消耗しきった母子が相談室にくる。母親がエンパワーされると子どもも元気になる。居場所、食事、愛情が元気を生む。“子どもの笑顔のある大阪”といいつつすべてを壊していく橋下に対し、貧困の再生産を避けるために地域で条件を作っている。平和、民主主義、男女平等を実現することが革命だと思っている。
・山口二郎:支払超過意識が強い比較的余裕のある既得権を持つ中間層が橋下の公務員攻撃に同調する。弱い人が橋下を支持するのは破壊願望によるもの。これに対し社会的包摂の考えが出ている。中間層には、セイフティネットの崩壊は子の世代に響くと言いたい。
・中野麻美:人権が軽い時、個人は自分を抑え、行動の自由を失うことに気づかねばならない。メディアは一般市民の情報を獲得してほしい。人気でなく真実や道理を求めるメディアと共に、責任と権利に基づく民主主義を獲得していきたい。