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石原都知事に東京都知事立候補辞退勧告文を送付
投稿 3月 23rd, 2011東京都知事 石原慎太郎 殿
東京都知事選挙立候補を辞退することを勧告しますあなたは去る3月14日、このたびの東日本大震災について、「我欲に縛られ政治も
ポピュリズムでやっている。それが一気に押し流されて、この津波をうまく利用
してだね、我欲を一回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のあかを
ね。これはやっぱり天罰だと思う。被災者の方々、かわいそうですよ」と発言し
ました。その後の記者会見でも「『被災された方には非常に耳障りな言葉に聞こ
えるかも、と(前置きで)言ったんじゃないですか』などと釈明したが、実際に
は発言していない。」「持論を展開して、撤回しない考えを示した」と報道され
ています。(毎日新聞3月15日朝刊)この発言について、あなたは「『天罰』という言葉が、添える言葉が足らずに、
被災者の皆様、国民・都民の皆様を深く傷つけたことから、この言葉を撤回し、
深くお詫びいたします。」と述べられたそうですが、この発言は撤回すれば済む
ようなことではありません。
あなたの発言が被災された方をはじめとする多くの人々を傷つけたのは、「言葉
が足りなかった」からではありません。あなたの発言の中に、他人の痛みや苦し
みに思いを馳せ共感しようとする姿勢がまったくなく、逆に他人の痛みや苦しみ
を踏み台にして自らの「思い」を貫こうとする「強者の傲慢な思いあがり」を如
実に見たからです。あなたはあなたの言う「我欲を一回洗い落とす必要のある日
本人」の中にあなた自身を含めていますか。もし東京都が地震と津波で壊滅的打
撃を受けたら、「天罰だ、これを利用して我欲を洗い流そう」と言いますか。今
回の災害がもし自然破壊を繰り返してきた人間の所業の結果だとしたら、それは
「天罰」などではなく人災でしょう。原発震災はまさに人災です。その人災をも
たらした人間の中にあなたは含まれていますか。
あなたの「天罰」発言は今回の災害を人ごとだと思っているからこそ言える発言
です。あなたが常に「強者」の立場から社会的「弱者」やマイノリティを傷つけ
る言葉の暴力を駆使してきたことを、私たちはよく知っています。あなたは他者
の人権を尊重するという行政の長が持つべきもっとも重要な資質に欠けています
。もし東京に今回のような災害や危機が訪れたなら、あなたはおそらく躊躇なく
「弱者」を切り捨てるでしょう。あなたの「天罰」発言はまさにそのことを人々
に知らしめたのです。あなたは来る東京都知事選挙への立候補を表明されていま
す。しかし、あなたは今回の発言への政治的・道義的責任をとるべきです。その
道はただひとつです。
私たちは、あなたに東京都知事選挙への立候補を辞退するよう勧告いたします。
2011年3月22日石原都知事の女性差別発言を許さず、公人の性差別をなくす会