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「望ましい国内人権機関 法案要綱・解説」についての意見
投稿 11月 7th, 20102010年10月 国内人権機関設置検討会より提案された「望ましい国内人権機関 法案要綱・解説」について、検討会のご尽力に敬意を表しつつ、当会の意見を表明します。望ましい国内人権機関の早期実現にむけて、私たちも微力ながら力を尽くしていきたいと思います。
「望ましい国内人権機関 法案要綱・解説」についての意見
2010年10月
石原都知事の女性差別発言を許さず公人の性差別をなくす会
1)私たちは検討会より提案された法案骨子(以下、検討会案)について、以下の4点で加筆・修正を提案します。
①法案の性格・名称を「人権委員会設置法案」とすることには賛成ですが、法案の名称の次に「人権委員会の組織体制」が記載されていることには賛成できません。組織体制の以前に人権委員会とは何か、何のための機関かという規定を明らかにすべきだと考えます。検討会案には法の目的および人権委員会の任務についての記載が明示的にはありませんが、法案の名称の次に「法の目的」を明示することが必要だと考えます。
②人権委員会の任務の前提となる人権の定義、差別の定義などの諸定義は、人権の範囲・救済対象を広くし、間接差別などの抜け道を作らないようより厳密な規定が必要だと考えます。具体的には国際的な人権諸条約の規定を踏襲するよう提案します。
③「人権委員会の組織体制」について、「委員の任命手続」中の「推薦委員会」についても、ジェンダー・バランスに配慮する規定が必要だと思います。検討会案では、人権委員についてのジェンダー・バランス規定は明記されていますが、人権委員を推薦する委員会については職種・団体の記載はありますが、ジェンダー・バランスには触れられていません。「推薦委員会」が要と考えられますので、この点を加筆するよう提案します。
④公務員の人権侵害についての対応は、憲法99条により憲法尊重擁護義務を負う政治家・裁判官などすべての公人が対象となることをより強く明記するよう提案します。
以上の4点につき、以下、具体的な文案を提案します。
2)法案の名称の次に、2として「法案の目的」を置く。文案は以下のとおり。
「この法律は、人権侵害により発生し、または発生するおそれのある被害を救済し、
人権侵害の理念の尊重および人権擁護の施策を推進することを任務とする人権委員
会の設置を目的とする。」
3)次に、3として「定義」を置く。定義は以下の4点とする。
①人権の定義 「憲法および国際法上認められた人権。」
②人権侵害の定義
「人権侵害とは、合理的な理由なく人権を制限または否定するすべての行為をいう。『合理的理由』または以下の③にいう『合理的配慮』とはすべての人が他の者と平等にすべての人権および基本的自由を享有し、または行使することを確保するために必要かつ適当な変更および調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失したまたは過度の負担を課さないものをいう。」
③差別の定義
「差別禁止事由に基づくあらゆる区別、排除または制限であって、政治的、経済的社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者と平等にすべての人権および基本的自由を認識し、享有し、または行使することを害し、または妨げる目的または効果を有するものをいう。ただし、妊娠・出産、障害、疾病または年齢を理由とする差別的取扱いについては、合理的配慮の欠如も含む。」
④差別禁止事由 検討会案に「年齢」および「など」を加筆する。
4)次に4として検討会案の「人権委員会の組織体制」を置く。
検討会案の(7)「委員の任命手続」の中の「推薦委員会」について、「推薦委員の
選任にあたっては一方の性が3分の2を超えてはならない」を加筆する。
5)検討会案の「人権委員会の機能」は5となる。その中の(1)から(4)まではすで
に上記に述べているので、「人権委員会の機能」の(1)は「主たる救済方法」となる。
「主たる救済方法」の7の上から5行目「また、公務員による人権侵害~」の文言を次
のように修正する。
「憲法99条により憲法尊重擁護義務を負う公務員・特別公務員による人権侵害につ
いては、当該公務員・特別公務員の懲戒権を有する者に対して、懲戒処分を要請する
ことができる。」
以上