• 2010.5 第3次基本計画の「中間整理」にパブコメ 

    投稿 11月 7th, 2010

    2010.5 第3次基本計画の「中間整理」パブコメ提出「第3次男女共同参画基本計画中間整理」に関するパブリックコメントの募集に際して、意見を提出しました。 

    固定的性別役割分担意識の払拭と女性への暴力について

      かねてから、指導的公職にあり、憲法遵守義務のある公人および政治家による女性差別発言は、女性の人権を侵害し、女性の多様な生き方を否定する言葉の暴力であると訴えてきた私たちは、策定中の「第3次男女共同参画基本計画中間整理」に関して、以下の意見を提出します。

    総論                                                中間整理文案本文前に、女性差別撤廃条約第1条の引用があることを歓迎する。しかし、引用の位置づけが定かでない。引用に留めず、女性の差別についての条約上の定義を反映する法制定などの具体的目標を本文中に明記することを求める。なぜなら、条約上の差別の定義を反映する法律がないことこそ、政府の男女共同参画社会の実現を遅らせる最大の原因だからである。

    第1部 基本的考え方

    1.「基本的考え方」Ⅳに示された「留意点」4項目を歓迎し、具体化を期待する。    さらに留意点2にある「固定的性別役割分担意識を前提とした社会制度や社会構造の変革を目指す」とある点については、「とともに」を削除し、この留意点の重要度からみて独立項目とすべきである。

    Ⅴ.「改めて強調すべき視点5」では、「女性に対する暴力を重大な人権侵害として克服すべき課題」にあげているが、言葉による差別も言葉の暴力であり、重大な人権侵害であるという認識を盛り込んでいただきたい。

    第2部 重点分野                                         

    第2分野                                              男女の平等を定め、性による差別を禁じた日本国憲法公布後64年、さらに憲法は公職にある者に憲法遵守を義務づけている。また女性に対するいかなる差別をも禁じた女性差別撤廃条約批准から25年、公人による性差別がなくならないのは、憲法や条約の遵守義務を怠っているからである。

    基本計画第2分野では、「固定的性別役割分担の解消、特に男性の意識を変えるための広報・啓発に取り組む」と謳っているが、その対象を一般国民としているように見受けられる。改革が進まなかった理由として「政治のリーダーシップ不足」が指摘されているが、それどころか逆に政治家が扇動し、しかも司法もそれを糺すことを出来ていない。国連女性差別撤廃委員会の最終所見は、政治家や公的立場にある人が「女性の品位を下げ、女性を差別する家父長制度に貢献する侮蔑発言をしないよう、言葉の暴力への刑罰化を含めた方策を採ること」を求めている。女性差別撤廃委員会は、条約の法的地位の尊重と周知徹底を求め、その対象として、政府職員、政治家、国会議員のほか、裁判官、検察官、法曹を挙げている。そのための具体策を示してほしい。特に、女性の人権が侵害されたことを救済する立場にある司法関係者の条約理解は必要不可欠かつ緊急な課題である。

    第8分野

    Ⅱの「今後の目標」あるいはⅢ-(1)の記載に「言葉による女性差別」「女性を攻撃する言葉は暴力である」ことを加えてほしい。                           同時に「基本的考え方」のⅤ-5の暴力に関する記載中、「女性に対する暴力」に言葉の暴力を含める表現にしていただきたい。国際社会は、女性に対する暴力概念の核心を、相手をコントロールすることによって人間の尊厳を侵害するもので、あらゆる形態の暴力により人格の統合性を侵害ものであるととらえている。この概念を定立することによって守ろうとする法益には、恐怖と不安におびえることなく、平穏で安全な生活を送る権利があるとされるべきである。世界各国では、そうした意味で暴力の根絶をめざす立法を実現してきており、日本においても、暴力によって生きる力を弱められ、自尊感情という人権の中核そのものを傷つけられてはならないという趣旨から、言葉による暴力を根絶するという明確なスタンスに立つべきである。

    第12分野

     「報道の自由」「表現の自由」「知る権利」は重要な守るべき権利だが、それらを守るという名目で、女性や子どもの人権を侵害する情報提供に対して寛容な実態がある。このことは、当該情報の直接的被害者のみならず、ひろく女性や子どもの権利の侵害を放置・容認することにつながる。国際的にもしばしばポルノ生産国、発信国としての日本が糾弾されている。

     他者の人権を侵す自由は、憲法や法の保障する自由ではない。中間報告は、メディア業界の自主的取組を挙げているが、具体的取組に挙げた6項目では実効性を予測させる具体性には遠い。さらに具体的効果につながる視点を盛り込んでいただきたい。メディア・リテラシーの向上など、具体的事例を通じて行うことが効果をあげるだろう。     また、2については、国のみならず地方公共団体などの情報も含めるべきである。

     第14分野

    第14分野の実効ある進捗を期待する。なお、同分野Ⅲ-1-(2)の①の一文に「・・・国際的な取組を、法曹関係者を含めあらゆる機関、あらゆる年代層の国民に周知徹底」とあるが、「法曹関係者」の前に「政治家、公職にある者」を加えていただきたい。

     第3部       推進体制 

    男女共同参画社会の実現を求めて、我が国は25年前に差別撤廃条約を批准した。しかしいまだ多くの分野でそれが実現していない。今後、国内で男女共同参画を推進し、条約の内容に近づくためには、「選択議定書」の批准が必至である。議定書批准を目指すことを、「今後の目標」の中に明記して頂きたい。                              

                                                     以上

     

                                       

    .