• 2010.3.27 曽野綾子 第2次要望書

    投稿 11月 7th, 2010

    2010.3.27 曽野綾子さんの産経新聞紙上での女性差別発言についてのその後のお知らせです。先にお知らせしたように、発言の撤回などを求めて、曽野綾子さん、産経新聞、曽野さんが社外取締役である日本郵政株式会社の3者に要望書を送りました。
    回答があったのは日本郵政(株)のみで、その回答は次のようなものでした。

     第2次要望書           

                                            2010年3月27日

    日本郵政株式会社

        CS推進部 御中                                                        

                        石原都知事の女性差別発言を許さず、公人の性差別をなくす会                                                

     先般当会より提出した要望書に対する本年1月29日付のご回答、ありがとうございました。つきましては、ご回答内容について再度お尋ね致します。

     1.ご回答には「本件は、曽野綾子氏の弊社社外取締役としての活動に関するものではなく、文筆家としての活動に関するものであり、弊社としてはコメントする立場にございません。」と書かれています。そこでお伺いしますが、曽野綾子さんを貴社社外取締役に任命された根拠は何なのでしょうか? 曽野さんを任命されるにあたっては、曽野さんの文筆家としての活動も含めたこれまでの社会的「業績」や識見、知名度を考慮されたのではありませんか? 曽野さんの社会的活動の評価は文筆家としての活動を抜きにしてはありえません。現に貴社ホームページの「会社情報」欄中の役員一覧には「社外取締役 曽野綾子(作家)」と記載されています。曽野綾子さんが文筆家としての知名度のない一市民であったなら、貴社は曽野さんを社外取締役に任命なさらなかったでしょう。私たちは、曽野さんが貴社社外取締役在任中に行う文筆活動を含めたすべての公的活動は貴社に関わりあるものだと考えます。貴社の活動を遂行する曽野さんを見て、貴社の事業に接する日本全国の人々は「作家曽野綾子とは別人だ」とは考えないでしょう。公人としての曽野綾子さんの社会的立場は、貴社社外取締役であることによりいっそう大きな責任あるものとなり、また貴社には曽野さんの公的活動全体をふまえた任命責任があるのです。

     2.貴社CSRには「3つの重点課題」として、「人に優しい事業環境の整備」「社会、地域社会への貢献の推進」「環境保全活動の推進」が掲げられています。中でも「人に優しい」とは「お客様」「社員」双方にとってのこととして、高齢者や障がいのある人にも優しいサービスの提供、局舎のバリアフリー化などの取り組みが進められ、社員に対しては「当面は特に女性の登用、そして、仕事と育児の両立の実現可能な職場環境整備」と掲げられています。これらの取り組みの基礎にある考え方は「人を差別しない」ということではないのでしょうか。人を差別せず、すべての人に平等にサービスを提供する、女性を差別せず、女性だけに一方的に課せられる行動基準を設けず、男女平等の職場環境を作るということでしょう。その考え方が基礎になければ、「人に優しい」とは言葉だけ、表面上だけの掛け声に終わります。貴社CSRの基礎には、社外取締役を含めて全社的に人を差別しないという基本的考え方を徹底させる理念と実践があるのだと、私たちは受け止めます。

    このような貴社CSRに示されている基本的考え方と、曽野綾子さんが2009年11月25日付産経新聞「オピニオン」欄に書かれた、性暴力犯罪の被害を受けた女性を差別する見解とは相容れないものです。

    曽野綾子さんの文章をもう一度引用しておきます。

    「今でも忘れられないのは、いわゆる『基地の町』の駐車場で、夜半過ぎに一人で歩いていた女性が米兵に襲われて殺された事件である。もちろん襲った米兵が悪いのだが、午前1時過ぎに基地の近くを一人で出歩く女性は、性的商売をしていると思われても仕方がない。それは日本以外のほとんどどこの国でも示される反応だ。」「太ももの線丸出しの服を着て性犯罪に遭ったと言うのは、女性の側にも責任がある、と言うべきだろう。なぜならその服装は、結果を期待しているからだ。性犯罪は、男性の暴力によるものが断然多いが、『男女同責任だ』と言えるケースがあると認めるのも、ほんとうの男女同権だ。」また、昨年島根県で起きた女子大学生殺害事件を想定して「大学生がアルバイト先から、暗くて自分でも気味が悪いと思うような夜道を歩いて帰る、ということが本来常識外なのである。」とも書いています。

    先の要望書にも書きましたが、明らかに実際に起きた事件の被害者を名指しで非難するに等しい記述、あたかも彼女たちが性暴力に遭う「結果を期待して」夜道を歩いていたかのように読者に印象づける記述は被害女性を侮辱するのも甚だしく、事実の裏づけのない決め付けは彼女たちへの名誉毀損です。曽野さんは被害者への名誉毀損とも言える、また女性全体に対する侮辱や偏見に満ちた先の差別発言を撤回すべきです。曽野さんがこの発言を撤回しないならば、貴社は曽野さんを社外取締役から解任すべきです。

     3.貴社にもう一度下記の点をお尋ねしますので、ご回答ください。

     ①曽野さんを社外取締役に任命された根拠の中に、曽野さんの文筆家としての知名度や「業績」は含まれていないのですか。だとするならば、曽野さんを社外取締役に選ばれた根拠はなんですか?

    ②貴社CSRに示されている、「人に優しい」=何人も差別しない、という基本的考え方と曽野さんの上記見解は相容れるものであるとお考えですか?

    ③曽野さんが上記発言を撤回されない場合、貴社は株主総会において曽野さんの社外取締役解任を提案されますか?

    ご回答は文書にて、2010年4月30日までに当会連絡先までご送付下さい。

                                                   以上

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