• 連続学習会 第1回

    投稿 2月 20th, 2010

    第1回「表現の自由と性差別表現」

    公人の差別発言をなくしていくために、連続学習会を行うことになった。第1回目「は、私たちが「性差別表現」を告発すると、必ず対置される「表現の自由について、3つの報告を行い、話し合った。

    報告1「日本国憲法21条と表現の自由」

    ・  性表現については「わいせつ」な表現の規制が、憲法違反かどうかという枠組みでとらえられ、裁判でチャタレー事件などが争われてきた。

    ・  「表現の自由は他者の人権を侵害してはならない」と、「公共の福祉」を理由に「立川反戦ビラ配布事件」が有罪とされた。

    報告2「表現の自由と性差別表現」

    アメリカでも表現の自由と性差別表現につてのせめぎあいが続く

    ・  80年代にマッキノンらが2つの自治体で提案した「反ポルノグラフィー条例」は、最高裁の「表現の自由に抵触する」という判断で成立を阻まれた。被害者個人が受けた暴力的ポルノの被害を証明し、停止を求めると「思想の検閲」と捉えられるため。

    ・  マッキノンらは、言論の自由を保護することが、社会的従属の保護につながるのではなく、平等が侵された場合の救済と言論の自由に平等な権利を与えるべきと主張。

    報告3「反天皇制表紙絵問題と表現の自由」

    ・  1988年「今、天皇制を問う」集会のパンフレットは、ハイレグ、レオタードの女がチラシを股間に挟んだが「呼びかけ文」が表紙絵であった。この報告3は、この問題の論争に当事者として関わった経験者が行った。

    ・  性差別を告発された男たちは、その根拠を深めず、告発した女への怒りを表した。

    ・  差別は単なる「偏見」ではなく、「排除」行為でもあった。

    まとめ

    以上のような報告から、以下のように確認した。日本社会でも従来の法規制や社会規範は、法曹界、メディア、政治、そして活動の分野なども男性中心の家父長制維持の価値観の影響が大きい。表現の自由についても「対抗言論」で応じるべきと言われるが、そう行っても、理解はなかなか進まない。日本を超えて法律や法律論議も学び、深めつつ、具体的に差別表現をどう抑制できる、取り組んで行きたい。

    参考文献

    『ポルノグラフィー 平等権と表現の自由の間で』(C.Aマッキノン)、『憎悪表現とは何かー差別表現の根本問題を考える』(菊池久一)、『性の商品化と表現の自由 2章』(紙谷雅子)、『ヘイトスピーチの規制と表現の自由-関西大学法学論集50巻6号』(奈須祐治)、『婦人通信』(1989年2月号、1992年3月号)、『労働情報』(1991年9/15号、10/1号)

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